肩こりがなかなか治らない原因|胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)が肩を引っ張っているかもしれません
今回は前回の「肩こりが何度も戻る理由|二の腕(上腕三頭筋)編」に続く、胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)編です。
「マッサージを受けても肩こりがすぐ戻る…」
「肩ばかり揉んでいるのに楽にならない…」
「デスクワークをすると肩がどんどん重くなる…」
このようなお悩みでご相談いただくことがとても多くあります。
肩がつらいと、
「肩の筋肉が凝っているから肩をほぐそう」
と考える方がほとんどです。
もちろん肩の筋肉にも負担はかかっています。
しかし実際には、
肩ではなく胸の筋肉が大きく関係していることも少なくありません。
前回は、二の腕の上腕三頭筋についてお話ししましたが、
今回は、大胸筋・小胸筋を中心に、鎖骨周辺の筋肉
についてお話しします。
肩が悪いのではなく「肩が頑張らされている」ことがあります
肩こりがある方のお身体をみると、肩そのものにも負担はかかっていますが、胸の筋肉が緊張しているケースがよくあります。
大胸筋や小胸筋など、胸の筋肉が緊張すると、肩が自然な位置よりも前へ引っ張られやすくなります。
特に小胸筋は肩甲骨と肋骨をつないでいるため、緊張すると肩を前へ引っ張りやすくなります。

しかし、肩が前へ引っ張られたままでは、頭や腕を安定して支えることができません。
そこで、肩や背中にある僧帽筋などが、前へ引っ張られた肩を元の位置へ戻そうとして働き続けます。
胸の筋肉が前へ引っ張り、僧帽筋が後ろへ戻そうとする。
この状態が長く続くことで、僧帽筋は休むことができず、力を入れ続けることになります。
その結果、肩の重さや張り、だるさ、痛みなどを感じやすくなってしまうのです。
つまり、肩が悪くて硬くなっているというよりも、
胸に引っ張られた肩を支えるために、僧帽筋が頑張り続けている
というケースも少なくありません。
このような場合、つらくなっている僧帽筋だけを揉んだりほぐしたりしても、肩を前へ引っ張っている状態が変わらなければ、しばらくすると再び僧帽筋が頑張り始めてしまいます。
そのため、肩こりを繰り返している方は、つらい肩だけでなく、胸の筋肉にも目を向けることが大切です。
なぜ胸の筋肉が緊張するのでしょうか?
デスクワークやスマートフォンなどで前かがみ姿勢で手を使っている状態が続くことも一つの要因です。
しかし、それだけではありません。
身体は、疲労やケガ、痛みなどを感じると、無意識に身体を守ろうとします。
その結果、胸の筋肉にも力が入り続け、肩を前へ引っ張る状態になってしまうことがあります。
つまり、胸の筋肉が悪いというより、身体が守ろうとして起きている反応の一つとも考えられます。
強く伸ばせば良いというわけではありません
胸が硬いと聞くと、胸を大きく開くストレッチを思い浮かべる方も多いと思います。
もちろん、軽く気持ち良く伸ばす程度なら良い場合もあります。
しかし、肩こりが強い方では、身体が守ろうとしている状態が続いていることもあります。
そのような状態で、無理に強く伸ばしてしまうと、身体はさらに守ろうとして緊張を強めてしまうことがあります。
そのため、大切なのは身体が安心して動ける範囲で優しく行うことです。
ご自宅でできるセルフケアをご紹介します
ここでは、肩を頑張らせている胸の筋肉をやさしく緩めるセルフケアをご紹介します。
ご自宅でできるセルフケア
※痛みが出ない範囲で、ゆっくりと行ってください。
① 椅子に座り、左手で右側の胸をやさしく包み込みます
左手の親指から母指球を、右側の鎖骨のすぐ下に沿わせるように当てます。
残りの4本の指は、右の脇の下にある大胸筋を包み込むように添えましょう。
② 右腕は体の横に自然に下ろし、手のひらを身体の外側に向けます。
③ 手のひらをゆっくり上(天井)へ向けながら、右腕を肩の高さまで横に持ち上げ、胸を開いていきます。
このとき、左手で触れている胸の筋肉が動くのを感じながら行うのがポイントです。
④ 胸に張り感や違和感を感じたところで止め、無理にそれ以上動かさず、ゆっくりと元の位置へ戻します。
これを左右それぞれ10回繰り返しましょう。
ワンポイントアドバイス
力いっぱい胸を開こうとしたり、痛みを我慢して動かしたりする必要はありません。
「少し張るかな?」と感じる程度までで十分です。
ゆっくり呼吸を続けながら、胸の筋肉が自然に動くことを感じながら行ってみてください。
このセルフケアは、一般的なストレッチとは少し考え方が異なります。
胸の筋肉を無理に伸ばすことが目的ではなく、胸の筋肉が「安心して動ける状態」を作ることを目的としています。
そのため、強く引っ張ったり反動をつけたりせず、気持ちよく動かせる範囲でゆっくり行うことが大切です。
※現在動画を制作中です。公開しましたらこちらに掲載します。
肩だけではなく胸にも目を向けてみましょう
肩こりというと、肩だけが悪いと思われがちです。
しかし、身体はすべてつながっています。
肩だけを繰り返しほぐしても改善しない場合は、肩を頑張らせている場所が他にあるのかもしれません。
胸の筋肉もその一つです。
もちろん、すべての肩こりが胸の筋肉だけで説明できるわけではありません。
当院では、肩だけを見るのではなく、身体全体のバランスや動き、防御反応なども確認しながら、肩に負担が集中してしまう原因を一緒に探していきます。
肩こりでお困りの方は、一人で悩まずお気軽にご相談ください。
